真田メルロ2019[樽]リリース

VARTの赤ワイン「真田メルロ2019[樽]」本日より販売開始です。

3,200円(税込)、750ml、生産量630本

撮影協力:長谷寺(ちょうこくじ)

上田市真田町産のメルロ100%。2019年は高温多湿が続き病害虫に悩まされた年でしたが、9月〜10月初旬には天候が安定し良く熟しました。
醸造は東御市のcave hatano。フレンチオーク古樽12ヶ月熟成の鮮やかな濃いルビー色が魅力的で、瑞々しい黒系ベリーの甘い香りや、クローブなどのスパイス、土やキノコのニュアンスが楽しめるでしょう。
味わいはまろやかながら、口に含むとすぐにしっかりしたタンニンが感じられ、時間と共に甘い果実味が現れます。
鹿や鴨肉のフルーツを使ったソースといったフランス料理のメインディッシュや、熟成したゴーダやウォッシュタイプのチーズとの相性はもちろん、鶏モモ肉の竜田揚げ、豚肉の生姜焼、筑前煮といった醤油を使った普段のお食事にもよく合います。

メルロは4回目のヴィンテージ。これまでも順調に目指す方向性に進んでいたが、個人的にはこの2019は「驚くほど美味しい!」とまで言いきれる。瓶詰め後2ヶ月目に試飲した時は感動してしまい「自分で買い占めたい」とまで思った。

もちろん、醸造していただいている波田野氏の丁寧な造りによるところが大きいものの、改めて土壌と気候がメルロにピタリ合っているなぁ、という印象。

スタートして6年経つ多様性を活かした草生栽培と、有機農薬による栽培が間違っていない感触がある。(有機栽培の難しさ、限界、体力的な厳しさも見えてきたが・・・)

日本ワインにしては重めの濃いワインですが、嗜好が合いそうでしたらおすすめしたい1本です。購入店は限られていますが、ご興味がありましたらオンラインショップを覗いてみてください。

迎賓館赤坂離宮でVART

お知らせとなります。

内閣府の要請により、本イベントは24日(木)・25日(金)のみの開催となり、土日の26・27日は中止となりました。

千曲川ワインバレーの片隅でこっそりぶどう栽培とワインショップをしているVARTですが、ちょっとしたお誘いもあり東京でのイベントに出没します(ワインのみ)。

「聖なる夜の千曲川ワイン」というもので、赤坂にある迎賓館の前庭カフェで行われます。

[開催日時]2020 年12 月24 日(木)~ 27 日(日)10 時~ 19 時
 ※酒類販売10 時~ 19 時(LO.18 時30 分)
 ※最終日は17 時まで。酒類販売は10 時~ 17 時(LO.16 時30 分)
[会  場]迎賓館赤坂離宮 前庭  ※キッチンカーにて提供

※前庭への入場料が300 円(大学生以下無料)かかるようです。「特定非営利活動法人パークカフェ」さんが企画。

ワインは、cave hatano、ドメーヌナカジマ、ナゴミヴィンヤーズ、坂城葡萄酒醸造、トゥモローワインに、VART(メルロ2018樽)を加えていただき6銘柄。オードブルには東御市の「アトリエ・ド・フロマージュ」からチーズ各種と「ソーセージハム男」のシャルキトリ各種が並ぶようです。

イベントの詳細はこちらをご覧ください。

なお、コロナ禍でのイベントとなります。状況によってはご入場いただけない場合もありますのでご了承ください。また、ご来場にあたっては、マスクの着用、検温の実施、手指の消毒、ソーシャルディスタンス等のご協力をお願いします。

迎賓館赤坂離宮のお知らせはこちら

GoTo Trip

このところずっと毎日わら巻き作業をしていてさすがに疲れてきた。ここらでひと息、というところだったけど、例の第3波もあり予定していた息抜き旅は中止とした。

そうして昨日もわら巻き作業を黙々と続けて殿城ヴィンヤードの若木をすべて終えることができ、何はともあれひと区切り。

たまらず今日は畑仕事をお休みにし静養につとめた。

自粛の雰囲気はあるものの、とりあえず上田市を抜け出すか、ということで、ひと山越えてすぐ隣の松代町へ。

真田氏の系譜が色濃く遺った城下町。善光寺詣でに埋もれ、観光系の賑わいからすっかり取り残された感があるが、むしろそのおかげで落ち着いたたたずまいとなっている。

十数年前に旅したことのある宮城県東北部の登米市登米町にちょっと似ている。

海津城(松代城跡)
樋口家

のんびりトリップしたあとは、我が村・岩清水にもどって久しぶりに古民家フレンチ&カフェのラ・ロッシュで遅めのランチ。

昼間っからワインをお供に堪能。丁寧な仕事。手作り野菜たっぷり絶品の重箱ランチです!

と言うわけで、つかの間の休日にGoToを楽しみました。もちろん、国民よりメンツを大切にする税金バラマキツールは使いません。

オレンジの誘惑

昨日は委託醸造をお願いしているVinVieさんに行ってきた。

目的の一つが2020シードル用リンゴの搬入。

そしてもうひとつが、真田殿城ブラン2020の今を自分の目で見ておくこと。こっちの方が気持ちは勝っていたけど。

そして、2つの驚き。

ひとつは、既にボトリングが済んでいて、そのまま熟成を行うとのこと。

おそらく、ひととおりの醸造工程を経てすぐにボトリングを行えばその後の品質管理も容易なのだろう。酸化リスクも最小限で済む(コルク栓で極々微量の呼吸はある)。白ワインはこういう方法もありなのか、と勉強になった。

そして2つめ。

事前にS氏に画像を送っていただき見ていたが、実際にその色に触れてみて「おぉ〜!」と、つい声を出してしまった。

オレンジだ。

決してオレンジワインを目指しているのではない。醸しの白ワインが持つタンニンや厚みが好きなのだ。が、正直ワクワクしてしまった。色に。

昨日撮った写真。肉眼ではもう少しオレンジぽかった。

「オレンジワイン」という表現は好まない。でも、好きな色なんだよな、オレンジ。

50代後半〜60代以上のサッカーファンなら共有できるだろうか?オレンジは革命の色なんだ(個人的イメージ)。

オランダサッカーの衝撃。クライフの色。

そういえば、横浜でシニアサッカーをやっていたときのチームのカラーもオレンジだったなぁ。いい色だ。

そもそもチーム名が「バッカス」とは。あからさまに酒好きのチーム。

醸造家の説明では香りも豊かだという。チェック用に1本・・・と言われたが、なんか、イケナイような気分になってしまった。大切に仕舞っておきたくなり辞退した。

半年以上は、待ちます。

メディア初登場?

若い頃から、被写体側になるのがどうも苦手で。裏方が好きなんだ。

とはいえ、コロナ禍による経済への影響は深刻。飲食店の苦境。そして同舟となる酒販店さんの苦境に心が痛んだ。

全く無名のバートのワインを扱っていただいている酒販店さんのことを思うと、もはや今までのスタンスを続けることは単なる我が儘としか思えなくなっていた。

自分が露出を増やすことにより、取引先の売上に少しでも貢献できるのなら、と思い地元のケーブルテレビUCVの取材を受けることにした。

正直、居心地悪い。気恥ずかしい。

UCV(上田ケーブルビジョン)のHPです。

ちなみに、10月28日夕方のNHKニュースでも紹介していただきました(長野のローカル枠)。

本日、臨時休業。

ワインショップ・バートは、土・日・祝日のみ営業していますが、今日31日(土)は臨時休業とさせていただきます。

真田町の周辺には戦国期の山城が多く遺っていますが、ウチのすぐ近くにも「砥石・米山城跡」という旧跡があり、そこを核とした「山城ガイドツアー」に参加するためです。

近ごろ、城ブームだそうで、なかでも往時の面影がイメージできる山城がマニアに受けているらしく「全国山城サミット」なるものが各地で開催され、今回はその第27回とのこと。

へぇ〜、っていう驚きと共に興味をそそられてしまった。

なにせ、正真正銘VARTのお膝元だし、すべての畑から周囲を見上げれば山城だらけだもの。

20代中頃に池波正太郎氏の「真田太平記」で真田を知ってから40年弱。小説とはいえ、真田昌幸が見せてくれた「マイノリティの美学」は、間違い無く自分の精神に影響を与えてくれた。

偶然のつながりかもしれないけど、真田町でワインぶどうを栽培することになった自分。いまいちど真田ワールドに浸かってみようかと思う。

という訳で、申し訳ありませんが本日はお休みです。

※11月1日(日)、3日(火・祝)は通常営業です。ご来店お待ちしております。

ワインのあけぼの

先週の収穫でとりのこしたメルロの病果を取り除く作業をしているが、ちっとも進まない。邪魔者がたくさんいて作業を阻むのだ。スズメバチ、怖いです。

収穫したメルロは、いまは順調に発酵してます。発酵している様子を見るのはいつもながら楽しい。手足をばたつかせたり泣き叫んだりキャッキャ笑ったりと、何をしてもカワイイ赤ちゃんのようだ。

昨日はcave hatanoにて瓶詰め作業があり、メルロ2019のリリース準備もそろそろ始まる。2〜5ヶ月ほど瓶で寝かせる。

そして、昨日は白ワインの醸造をお願いしているVinVieさんから画像が届いた。瓶内で熟成させているけど、なんとも美しい色だ。Sさん、いつもありがとう。

シズル感! おいしそう! @VinVie:S氏

画像を見た瞬間、飲みたい!と思ってしまった。これは現物を見に行かねば。お出かけの口実ができた(笑)。

惨憺たる状況の収穫が終わって1週間。鬱々とした気分が、少しずつ晴れてきた。前向きになってきた。ぶどう達は、ちゃんとワインとして次の生命へと受け継がれ、見守られ、飛び立とうとしている。ぶどう達の育ての親としては、そうそうのんびりとしてもいられない。

がんばりましょう。

伊那路

先日、委託醸造をお願いしているワイナリーVinVieさんへ使用済みのコンテナを引き取りに行ってきた。

上田市からは片道2〜3時間もかかるためちょっとした旅気分でもある。とはいえ、これがまたいいのだ。さすがに年相応に長時間ドライブは厳しくなったが、それでもクルマで出掛けるのはいくつになっても楽しみのひとつなので、遠路とはいえ用事ができると喜んで行ってしまう。

もうひとつ、いまは発酵途中なのでマスト(もろみ)の状態が見られることも楽しみだった。よしよし。すくすく育っている我が子を見ている気分。

今回は500Lの発酵タンク。もっと大きいのが“必要になる”ぐらい収量だったらなぁ。

ぴかぴかの新品です。

昨日はVinVieさんから画像を送っていただいた。白ワインの果帽(もろみの上に浮かぶ果肉や果皮、種のかたまり)です。孫(?)の写真が送られてきたような気分。

写真提供:VinVie・S氏

良い気分で帰路に。帰りは高速道路を使わずのんびり伊那路をドライブ。あいにくの天候だったものの、国道と並行に伸びる山沿いの道は素晴らしい車窓が続く。特に今の時期は、稲刈り間近の田んぼの黄色と蕎麦の花の白が幾重にも広がる景観が実に気持ちいい。

これは15日に撮影したもの。

上田と伊那の間にある諏訪湖沿いの岡谷市、ここにお気に入りの小さな美術館がある。「イルフ童画館」。帰り道に立ち寄るのにちょうど良い。

大正末期から亡くなる昭和五十年代まで童画家として活躍した岡谷市出身のアーティスト・武井武雄の美術館だ。

芸術関係に詳しい人はともかく、一般的にはほぼ無名なのではないか?

長野県に来た当初、可能な限りあちこちの美術館に出掛けたけど、そのとき「発見」したひとりだ。まったく知らなかった。

とにかくアイデアが凄い。無尽蔵。色づかい、構図、デッサン力、そのどれもが極めて個性的で完成度が高い。

童画家と称しているが、私個人としては「グラフィックデザイナー」と呼びたい。全く個人的な意見だが、トミ・ウンゲラー、ミルトン・グレイサーと並ぶ三大巨匠だ。

長くなるのでこの辺でやめておく。武井武雄。また観に行こう。

充実の伊那路でした。

まずは白ワイン品種から

いつも通りの言い訳だけど、バタバタしていたらまたしてもブログ投稿が1ヶ月ぶりとなってしまった。

次回メルロの収穫に向けてすぐに作業を始めるけど、とりあえず白ワイン品種の収穫が終わったので、緊張感を保ちつつも少しだけ精神面で開放感が生まれた(身体は悲鳴をあげている)。

今回は知人に教えて貰った冷蔵倉庫を借りることで、これまで必死に1日で終わらせていた収穫を、2回に分けて行うことが出来た。

最初は自宅前の殿城ヴィンヤード。ソーヴィニヨン・ブランと若木のシャルドネ。数は少ないし、ここは病気が少ないのでひとりでこつこつ行った。

14日(月)が本番。真田ヴィンヤードのシャルドネとリースリング。10名もお手伝いに来ていただきました。皆様に改めて感謝。

S氏撮影。画像をご提供いただきました。ありがとう。

昨年比32%減。手元で計った限りでは総収量423kgでした。

昨日15日は委託醸造先のVinVieさんへ持ち込み。前回までとワイナリーは変わりますが、醸造家は同じ竹村氏。これまでの流れもしっかり把握しているし、まだ経験不足の私の意見も真摯に聞いてくれるので、100%安心できるパートナーです。

さっそく仕込んでくれた。

写真提供:VinVie

もちろん今回も混醸。シャルドネ74.9%、リースリング12.7%、ソーヴィニヨン・ブラン12.6%となった。

そして醸し発酵をします。

今回は意図的に早く摘みました。

白ワインはやはり酸が欲しい。そしてこの1週間の酸落ちが速かった。pHもどんどん高くなっていた。

加えて、晩腐病が出始めて、その広がりも早まっていた。

選果でどんどん収量が減る中での糖度の上昇を待つリスクにびびる。

病原菌の混入割合が大きくなることによるもろみへの影響が怖い。

まだ知識不足ながらも少しは繊細な判断をできるようになってきたため、かえって臆病になっている。

実際に収穫をしていると、熟しきれていない実も多かった。そのため、仕込み時の糖度はかなり低いので補糖を行う。

ただ、最近は収穫時にいちばん重視しているpHが思っていた以上に低かったため、亜硫酸を減らすことができるとの報告をいただいた。

7月の致命的な長雨で、今年は有機農薬のみでの栽培が不可能となったが、亜硫酸を少なくできることは朗報であり、早摘みをしたのは正解だったと思われる。

白の2020年はこれまでと少し異なる個性となるだろう。この先も試行錯誤は続くが、今年は栽培家としてもターニングポイントとなるかもしれない。

白ワイン、シードルの絵。

ときどき聞かれるので、今月上旬に発売した、真田殿城ブラン2019と真田シードル2019のエチケット(ラベル)の絵について。

左:真田殿城ブラン2019、右:真田シードル2019

真田殿城ブラン2019の絵のタイトルは「感情交差点」。2017年に、軽井沢のギャラリーでのグループ展に誘われたときに描いたもの。

アクリル、ガッシュ/227×158mm/カンヴァス

予め「軽井沢をテーマに」というリクエストがあったので、旧軽井沢の「六本辻」という交差点がありそこをモチーフに描いた。

ここは「ラウンドアバウト」と呼ばれる方式のヨーロッパでよくみかける環状になった交差点で、雰囲気が好き。

ラウンドアバウトには信号が無く、様々な人々が、各々の判断で行き交う。その判断は個々に委ねられ、安全もリスクも自分で決める。

誰かに強制されないし、何かに制御されてもいない。

自由がある。

人々の交流もそうあって欲しい。

各々の感情もそうあって欲しい。

真田シードル2019の絵は単純明快。リンゴの花です。

アクリル/333×242mm/カンヴァス/2020年5月制作

4月下旬から5月上旬にかけ、信州のあちこちの畑でリンゴの花が満開になる。

ちょうど「シードルのラベルデザインはどうしようかなぁ」と思案していた頃、ふいにお隣のリンゴ畑が目にはいり、「これでいいじゃん!」と素直に、そして一気に描いたもの。

迷わず、勢いで描いたのが功を奏したか、植物が持つ開花期のエネルギーや、この季節の澄んだ空気感を出せたと思う。