農民のGW

改元騒ぎはどこ吹く風、農民はGWの10日間もフル稼働です。

新しい畑を借りました。村の目立つ場所にある。地形の都合上、一枚で広々とした効率の良い畑は無いため、長細く段状になっている。しかし陽あたりは抜群で水はけの良い適度な傾斜地だ。いままで気づかなかったが中々見晴らしが良い。小さいながらも「風光明媚」という形容がぴったりくる。

※写真(↓)は4月25日のもの。手前側と続きで右側の奥に広がる。

苗が手に入りづらくなっているため、とりあえずは入手できた本数だけ30日に植えた。カベルネ・フランを68本。初めての品種だ。昨日現在順調。

27日は去年に借りた小さな畑に暗渠(あんきょ)を設置する工事。地中に排水孔のあるパイプを埋め込むのだ。もちろん一人で全部こなす。腰が悲鳴をあげそうになった。

基盤整備された土地は形状は良いがカチカチの強粘土で水はけが悪い。昨春より一年かけて草を生やして養生させたものの肝心の雑草や緑肥もろくに伸びず仕舞だったため、まずは水はけ改善を施しもう一年土壌づくりをする。ちなみに、ここはタダで貸していただいた。「田舎は人間関係が濃密で面倒くさい」と都会の方々の数%から意見があるが、普通にちゃんと接していれば物事がビックリするほど楽に話しが進むことがある。

28日(日)は村のお花見。お寺の境内で催された小さな宴会。

その他もずっと畑仕事。真田ヴィンヤードのメルロ、シャルドネ、リースリングは今のところ順調。ヴィンヤード周辺の片付けも滞っている。巻きつる除去が進んでいない。ワイヤーも追加しなきゃ。新しい柱立ても必要。あれこれ考えるとやることいっぱいで作業は遅れ気味じゃん!

今朝の家の前のシャルドネ。若木なのでちょっと早めに進んでいる。芽掻きも始まっている。

寒くなったり暑くなったりしているけど、比較的ふつうの育成スピードと思われる。

関東の南岸付近では先日、雹が降ったようだ。果樹農家にとっては怖い天変。この時期に畑を襲わないよう、ただただ祈るしかない。

機械も科学もなかった昔の人々が篤い信仰心に支えられていたことを知る農民生活です。

運動会

はて?「運動会」というものに参加したのはいつ以来だったか思い出せない。

中学生だったか高校生か、大学ではあったのかな?・・・。そのぐらい昔だったと思う。少なくとも、社会人になってからは経験が無い。

きのう14日(日)、私の住む岩清水を含む「豊殿(ほうでん)地域」の運動会がありました。会場は小学校のグラウンド。豊殿地域は16の地区に細分しており、その全地区が集まって開催されます(3地区が不参加。過疎化のため)。

私もちゃんと参加しました。というか、今年は運動会を主催する側の公民館役員という立場となってしまい、自分の自治会で参加者を集めることから始まって下準備や現場で皆さんを先導する役割まで務めることに。昼頃に運動会が終わると今度は地区の公民館で慰労会を執り行うところまで。なかなか忙しい一日でした。

何から何までまったく勝手がわからず仕舞でしたが、けが人がひとりも出なかったこと、すべての予定を滞りなくこなせたことでホッとしました。

それもこれも、色々手伝ってくれたりアドバイスをいただいたりした岩清水の皆さんのおかげです。

ずーとマイペースでわがままに生きてきたけど、地域のコミュニティって、人と人の絆ってこうして生まれるんだなぁと、人生の後半でようやく理解でき始めた今日この頃です。

まぁ、これからも自分の好きなことしかやりませんが。

どんな感じになるのかな?

ずっとメルロの収穫にピリピリしながらぶどうの状態と天候ばかり気にしていて、13日にまし野ワインに持ち込み仕込んだ白品種のプレス(もろみを圧搾する作業)を見に行くのを忘れてしまった。残念。醸造家の竹村氏が画像を送ってくれました。

搾ったばかり。この後にオリ下げを行うと透明感が出てくる。去年よりオレンジっぽくなるようです。

2017に続き「真田殿城ブラン2018」も混醸仕込み〜醸し発酵です。2週間のスキンコンタクトっていう感じ。

さて、どんな白ワインになるのかな?日本らしさをそのままに、飲み応えのある白ワインに仕上がったら嬉しいな。

早くも来年が待ち遠しい。

ピンチは歓喜

本日、2018の初収穫。白ワイン品種のシャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブランです。酷暑の夏を証明するかのように昨年より2週間早い。

「最悪、2〜3人ぐらいで病果の多い収穫作業になっちゃうのかな・・・平日だし」と、このピンチに少々焦っていた。

が、集まってくれましたぁー!歓喜!

酒屋さんご夫妻2組、栽培友だち、シェフ2人、地元・岩清水から2人、上田市で通訳やっている人、埼玉からワイン仲間。私を入れると総勢12名と驚きの多さ!自分がいちばんビックリした。

病果の影響と夏の小雨による小粒な房のため、当初想定した収量からはかなり減ったものの、細かく手間のかかる作業もどんどん進み、心地良い疲労感で作業を終えることができた。

ご参加いただいた皆さん、本当に心から感謝します。2018も絶対良い白ワインになります。

復旧作業の一日

活火山の浅間山は別として、自然災害に見舞われることの少ない長野県の東側(東信地域)。特に私の住む岩清水はなかなかのものだ。

それでも、今回の台風21号は「風台風」のためひどい強風で、さすがにちょっと不安だった。停電にもなったし。

今朝は5時半起き(ちょっと寝坊)で畑を見に家を飛び出す。家の前のソーヴィニヨン・ブランは柱が1本倒されていた(直すのに慌てていて写真撮り忘れ)。ちょっと焦りながら真田のヴィンヤードに向かう。いやーひどかった。枝がぐちゃぐちゃ。何本も折れて下垂している。

ぶどうは強風でも房が落とされることは殆ど無い。また、蔓性植物のため枝は柔軟でポキッと折れるケースは少なく曲がり落ちる感じ。芯の組織さえ壊れなければ復活する可能性は高いため致命的なダメージは免れることができると思う。しばらくは観察を続ける。

ワイヤーもガタガタ。何本も枝を直さなきゃで、結局、一日中その復旧作業に追われてしまいました。

まぁ、いいほうだ。

リンゴ農家さんがいちばん大変。一昨年は遅霜、去年は雹、そして今年の台風と、3年連続で被害だ。田んぼの稲もみんな倒れていた。

農業は怖い。自然は怖い。

早めの収穫模様

湿度が高く信州らしくない天候ながら日照量多めの7〜8月で葡萄は良い状態を保っていたが、心配していたとおり、ここにきて雨や曇りが多い。例年より台風が多発しているのも気になる。9月は不安とともに始まった。

昨日でようやく電気柵の設置が完了。草刈りを入念にやる必要があり思いのほか時間がかかってしまった。

シャルドネ。ここからの病気が心配。

メルロは10月中旬まで引っ張れるだろうか?難しいかな?

春の早かった今年は現在も気温高めで推移しどこも例年より収穫が早くなりそう。明日は千曲市の収穫お手伝い。ウチも昨年より10日ほど前倒しで予定しているがどうだろう?

潮目

ここにきて、まるで悪夢のようだった連日の猛暑が終息してきた。夜中には寒くて目が覚め薄手の毛布をひっぱりだした。ここ岩清水は16℃台まで気温が下がったと思われる。

毎年お盆前後を境に気候が変化するけど、今年はとかく有難さが身にしみる。

潮目かな?

夜の温度が下がると安心する。ぶどうにも良いのだ。冷涼なこの地域ならではの成熟曲線が望める。ゆっくりゆっくり成熟してくれる。

昨年よりヴェレーゾン(生長の転換期)が1週間ちょっと早い。

今年は結実不良がやや多いものの、今のところ「そう悪くない」。8月下旬から10月にかけて長雨が無いことを祈るしかないため「順調」と言う表現を使うのは適していない。恐怖心が日増しに芽生えてくるからだ。

ともあれ、真田ヴィンヤードも殿城ヴィンヤードも心地良い風を感じるようになってきた。

熱中症のメカニズム

きのう熱中症になりました、たぶん。

このところ連日の猛暑日ながら、ずっと畑仕事をきっちりやっていたけど、さすがに疲れてきたかな?ということで土日は静養に努めました。

上田市は土曜日が37.5℃、日曜日が38.3℃と2日連続で観測史上最高値を記録。さすがの我が集落・岩清水も下界とさほど変わらず猛烈な熱波に襲われました。

岩清水へ移住してから快適な高原気候に慣れてきた身体は、東京や横浜で鍛えた(?)暑さへの耐性がすっかり失せているようで、昨日はホント辛かった。

で、野暮用で出掛ける以外は家でしっかり休んでいたら、だんだん身体がダルくなっていく。こまめに水分補給してもぜんぜん良くならない。ヤル気が出なくなっていく。頭痛はしないものの、このダルさは間違い無い。暑さはどんどん募る。夕方から食欲が出なくなった。これは「熱中症」だ。

猛烈な暑さは承知しているが、どうも納得できない。しばし悩んでいたが、ハタと気づいた。「汗の量が外で畑仕事をしているときより格段に少ない」。放熱していないのだ。代謝が停滞。完全休養がどうも裏目に出たようだ。

どうにもヤル気が出ないものの、この日は上田市の千曲川沿いで大花火大会が行われる。これに合わせ、近所の仲間で夕刻から恒例の「花火を見下ろしながらBBQ」があるのだ。

準備やら何やらで身体を動かし、花火が上がる前からビールをプシュッ。肉をほおばる。持ち寄りのつまみにあずかる。親しい人たちとの話しが盛り上がる。

日没とともに徐々に気温が下がり始める。花火はなかなかの見応えだ。

気づいたら、体調が良くなりました。

身体を動かして汗をかく。そして水分補給。最後にビールとリラックス。岩清水の夜。

熱中症にはこれが効きそうです。

求むパン屋さん。

私の住む小さな集落には、コンビニも自販機も郵便局も無いけど、豊かな森に囲まれ街から完全に隔絶されている。これがいい。

妄想する。この村だけにある素敵なお店があったら楽しいだろうな、と。

パン屋さん、誰かやってくれないかな。

店内にカフェもあったりして。村内で焙煎したての豆が手に入るから美味しい珈琲も出せる。少ないながらハムやチーズも店頭に並ぶ。店先には近所から集まる野菜が置いてある。

もう毎日行っちゃうよ。

ウチは酒屋をやる。できたてパンにハムとチーズ、家の前の葡萄からできたワイン。

人々が集まる。

「小さな村物語イタリア」の日本版が実現する。

いい暮らしだ。

可能性があるよ、ウチの村。

忙中閑無し

気づいたら1ヶ月以上投稿していなかった。

いろいろあったんだけど、ありすぎて何だか分からないまま時が過ぎていく感じ。

6月20日の白ワイン発売に続き、先週の7月24日には赤ワインをリリース。慣れない小売仕事でバタバタしながらも、人間の都合とは関係無くぶどう樹はこの時期どんどん梢を伸ばし葉を繁らせ果粒が肥大する。こまめな管理は欠かせないし、酷暑での防除もきっちりやらねばならない。なかなか厳しい。

そんな嵐のような1ヶ月半あまりも、とりあえず昨日で一段落。ささやかに祝杯。

11日間続いた35℃以上の炎暑も土曜日の台風到来とともに去っていった。早くも夜はTシャツとパンツだけで寝ていると寒いくらいだ。

暑さのせいか最近3〜4日は疲労感が出て身体が重かったけど、今朝は6時過ぎまで(寝坊)ぐっすり眠れ、なんと睡眠9時間!ちょっと頭と身体が軽くなった。

真田殿城ブラン2017と真田メルロ[樽]2017は、バート・ジャパンで発売する分がまもなく品切れ。有難い限りだ。

8〜10月はいよいよ最終仕上げの時期。1年の集大成だ。栽培家としてはここからが本当の勝負所。春からここまで順調にいっていても何が起こるかわからない。

おそらく気候の流れは変わった。休んでいるヒマはない。意識も新たに臨みましょう。